死亡保険の新規加入・見直しの際は、死亡保障額をいくらにするか?ということをまず考える必要があります。相続対策や貯蓄性をもとめて入る場合はまた違ってくるかもしれませんが、死亡保障を多めに見積もりすぎて保険料が高くなっている人というのは結構多いのではないでしょうか。

 

■考え方

死亡保障の額は、要するに、自分(被保険者。保険の対象になっている人)が亡くなったあと、必要になるお金はいくらか?ということです。ただ、公的年金などからもらえるお金もありますね。なので「かかるお金-もらえるお金=必要額」ということになります。厳密にいうとインフレ率なども考慮する必要があり、正確に予測するのはなかなか難しいのですが、できるだけトライしてみましょう。

 

●かかるお金

亡くなった後に必要になるお金というのは、

  • 死亡整理金(葬式代など)
  • 遺族の生活費
  • 遺族の住居費
  • 子どもの教育費

 だいたいこんなところかと思います。

これらが、いくらかかるのかを考えたうえで、すでにある貯金や、公的な保険で保障されるぶんなどを差し引いた額が、死亡保険で保障すべき額だと言えます。順番に考えていきましょう。

 

(1)死亡整理金

葬式代がいくらくらいかかるかは諸説あって、なかなか相場がわかりません。地域差もあります。大規模なものでなければ200~300万円としている情報が多いようです。近年、「火葬のみで30万円」のような非常に安価なお葬式を提供している企業も出てきているのでそこまで大きなお金を準備する必要はないと管理人は考えます。葬儀費用のためだけに死亡保険をかける独身の方もいますがあまり意味はないと思っています。

 

(2)遺族の生活費

夫婦+子ども家庭の場合、今現在の生活費を基本に考え、その7割程度というのが一般的です。本人は亡くなってしまうので、本人の分の食費なり小遣いなりを引くと今現在の7割程度だという計算です。子どもが独立したあとは、今現在の半分程度でよいはずです。また、今は車を持っているが、本人しか運転しない、といったようなことがあれば、車は手放すことになるでしょうから、その維持費なども不要になります。そのあたりは家庭ごとに変わってくる部分です。

 

(3)遺族の住居費

月々の出費のかなりの部分は住居費ではないでしょうか? なにはなくとも住むところは確保しなければならないので、住居費こそ保険で保障したいところです。ですが住宅ローンを払っている人なら、ローンを組むときに団体信用生命保険などに加入していると思うので、住宅ローンの残金返済はそこから支払われます。自分で入る保険では考えなくてもいいわけです賃貸などに暮している人は、家賃分のお金が必要になります。ただ、いざとなったら賃貸の住まいは引き払って実家に帰るといったことが可能であれば、そのような考えでもいいでしょう。

 

 (4)子どもの教育費

ほかに大きな資金と言えば教育資金です。もし学資保険に入っていれば、入っていた甲斐があるというものです。学資保険は、基本的に、親が亡くなれば以後の保険料はいらなくなるのでだいぶ助かることになります。

 

●もらえるお金

対して、もらえるお金があります。公的年金の制度のひとつ、遺族年金です。 

すべての人は国民年金に入っているはずです。プラスして、会社員・公務員の人は厚生年金・共済年金に入っています。国民年金に入っている人が亡くなったら、18歳未満の子どもがいた場合に限り、遺族に遺族基礎年金が支払われます。子どもがいなかった場合は寡婦年金または死亡一時金というお金が支払われます。厚生年金・共済年金に入っている人は、遺族厚生年金・遺族共済年金などが支払われます。

 このあたりのしくみはかなり複雑ですが、がんばってひとつひとつ調べていきましょう。

 

(5)遺族基礎年金

遺族基礎年金は国民年金から支給されるお金で、18歳未満の子のある妻または子に支給されます。遺族基礎年金の額は定額で、年金の加入年数や収入に関係なく決まっています。子どもが多くいる場合は、加算されて額が増えます。計算方法は次のとおりです。

基本額 79万2,100円
子どもの加算額1~2人目 22万7,900円
子どもの加算額3人目以降 7万5,900円

子ども1人の場合は、79万2,100円+22万7,900円=102万円(年額)です。

子どもが2人なら、79万2,100円+22万7,900円+22万7,900円=124万7,900円(年額)になります。

遺族基礎年金は子どもが18歳になる年度の末日まで支給されます。

 

(6)遺族厚生年金(遺族共済年金)

厚生年金の加入者が亡くなった場合は、遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金は子どもがいないと支給されなかったのですが、遺族厚生年金は子のない妻にも支給されます。また、子がある場合は、遺族基礎年金も同時に受け取れます。金額は加入者(この場合、亡くなった人)が受け取るはずだった厚生年金の4分の3にあたる額です。これは加入者の年金加入期間と、標準報酬月額などによって変わってきますので、正確に把握するためには年金機構などに確認する必要があります。

→年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)

 なお、子のない妻で40歳以上である場合は、65歳までのあいだ、中高年齢寡婦加算として、受け取れる額が増えます。遺族共済年金は公務員の人が加入している年金です。しくみはほぼ厚生年金と同じとなります。

 

(7)寡婦年金、死亡一時金

国民年金の加入者が亡くなって、残された妻に子どもがいない場合は、遺族年金はないのですが、条件によっては受け取れるお金があります。亡くなった夫が25年以上年金保険料を支払ったうえで、年金をもらうまえに亡くなっていた場合、10年以上結婚していた妻には、60歳~65歳のあいだ、寡婦年金として、夫がもらうはずだった年金の4分の3にあたる額の年金が受け取れます。この条件にあてはまらない場合も、夫が3年以上保険料を納めていて、年金を受け取らずに亡くなった場合は、死亡一時金という一時金をもらうことができます。死亡一時金の額は保険料納付期間によって変わりますが定額で、12~32万円の範囲です。

 

(8)そのほか

そのほか、たとえば勤めている会社の死亡退職金なんかがあることもあります。単純に、貯金があればそのぶんも計算に入れられますね。死亡保険にまったく入っていなくても、医療保険に少しだけ死亡保険金がついていることもあります。

 

……ここまでの(1)~(8)について考えておけば、完璧とは言いませんが、だいたいの必要額はわかるのではないかなと思います。実際に例をあげてみようと思ったのですが、けっこう長くて複雑になってしまったので、実際のシュミレーションは第2回にまわしたいと思います。