個人年金の基礎知識~メリット・デメリットを整理~

老後のお金をどうやって用意しますか? 普通に考えれば、「国の年金」と「若いうちに貯めたお金」が中心になると思います。ですが、最近のニュースを聞いていると国の年金はどれだけもらえるのかちょっと心配です。そうすると貯金頼みになりますが、銀行に預けておいてもほとんど利息がつかないのですから、十分な額を貯めるのは大変そう。

そこで、個人年金の登場です。「個人年金」という言葉は「公的年金」の反対語で、私的年金の一種です。要するに自分で用意する年金のことです。単なる貯金と違うのは、銀行の預金よりはマシな利率で運用してお金を増やせる金融商品を利用する点にあります。つまり、おトクに老後のお金を貯めよう!ということですね。

個人年金をつくるにはいろいろ方法がありますが、そのひとつが保険を使う方法です。保険会社のホームページなどを見てみると「個人年金保険」という商品があると思います。

個人年金のメリット

個人年金のしくみを簡単に説明すると次のとおりです。

1・将来、どのくらいの年金が欲しいかを決めて、保険会社と契約する
2・決まった期間、決まった保険料を支払う
3・支払った保険料が保険会社で運用され、老後に年金として決まった額が支払われる

最終的に「支払った保険料の総額」よりも「もらえる年金の総額」は多くなっています。どのくらい多くなるかの割合を「返戻率」と言いますが、だいたい110~120%程度です(保険会社によって違います)。

銀行の普通預金は、今の金利状況だとそこまで増えませんから、ただ預金しておくだけよりはトクをするということですね。

とはいえ、株やFXのような金融商品ほど、大きなリターンが得られるものではありません。そのかわり、株やFXのように大損してしまうこともないのです。厳密にはリスクもあります(後述)が、個人年金は金融商品としては非常にローリスクで、とても安全な部類です

ほかに、個人年金のメリットとして、支払った保険料は「控除」にでき、節税の効果があるということが挙げられます。税金が少しだけ安くなるということですね。

個人年金のデメリット

個人年金にデメリットはないのでしょうか。
考えられるものとして以下のようなものがあります。

1.保険料がわりと高め

定期保険などに比べると保険料は高めです。掛け捨てなどではなく、最終的には自分で受け取る貯蓄性の高い商品なので当然なのですが、月々それなりの負担になります。

2.将来のインフレに対応できない

個人年金は将来、もらえるお金が決まっています。ですが、その時点で、お金の価値がどう変わっているかは予測できないのです。つまり今よりもインフレが起きて、その金額に現在と同じだけの価値がないかもしれないのです。これは個人年金の弱点と言えます。個人年金単体ではどうしようもないため、他の金融商品と組み合わせるなどしてカバーするしかありません。

3.保険会社が破綻するリスクがある

個人年金は保険会社が破綻してしまうと、予定通りの運用はできなくなります。一応、セーフティネットとなるしくみがあって、支払ったお金は守られるようにはなっています(株のように紙切れになってしまうようなことはありません)が、当初見込んだような返戻率で年金がもらえるかどうかは100%とは言えません。国の年金も破綻するかも……と言われたりしていますが、それでも、国の年金がまったくもらえないなどという事態にはならないでしょう。もしそんなことになったら、民間の商品である個人年金はもっと心配ですよね。その意味では、なんだかんだ言っても、やはり公的年金のほうが安心度はあるわけです。

4.途中で解約すると損をする

個人年金の返戻率は、年金として受け取ってはじめて達成されます。途中で解約した場合、解約控除と言って、運用した資金が減らされてしまい、それまでに払ったお金ぶんは戻ってきません。つまり元本割れです。預金とは違い、途中で解約しないことが前提の貯め方ということになります。この点は、逆に言えば、せっかく貯まったのについつい引き出してしまって……といったことがないのでメリットだとも言えます。

個人年金はどんな人に向いている?

以上のような特徴を踏まえると

・できるだけ有利にお金を貯めたいが、株のようなリスクの高い金融商品は避けたい
・自分で貯金するのは苦手なので、強制的に貯められて、引き出せないようなものがいい

のような考え方の人には合っていると思います。

▲ページトップへ戻る